NACのブログ

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#10 おれど会:コミュニケーションについて

 2023年5月21日に行われたテーマ別研究の研究成果報告です。今回のテーマは「コミュニケーションについて」でした。今回はDiscordのボイスチャットで実施しました。参加人数は7名です。今回は、新しいメンバーも参加してくれました。

 

 まず「コミュニケーションについて」というテーマで参加者から困りごとを挙げてもらいました。その後、質問やコメントを募集しました。以下、困りごととそれに対するコメントです。(〇→困りごと、・→それに対するコメントです。)

 

【コミュニケーションのテクニックについて】

〇相手の目・顔を見て話すのが苦手。人の表情を認識するのが不快。偶然人と目が合ってしまった時もすぐ逸らしてしまう。

・私は、自然にしていたら(音声の場合は)ほぼ目を見ていない。手話で話す時は比較的見ている。意識している時は見る。マイナスの感情は生じる。

・ずっと目を見てなくても、印象に残るような形で一瞬見ておけば、「この人は人の目を見て喋る人だ」という印象を与えられる。

・似合うアイシャドウを考えると目の方を見ることができる。

 

〇自分も相手も話していない時間が怖い。

〇相手の話に興味を持ち適切に質問をすることは得意だと思うが、もし相手が質問されたくなかったらどうしようと思うと、それを察することができる自信がなく怖い。質問が思い浮かばなくなると、どうコミュニケーションを取ればいいのかわからなくなる。

・本当に親しくなりたい相手と一対一で話す時は、話したい話題を事前にメモしておいて、会話が途切れないようにする。ただしこれは、事前にどういう話題に関心があるか分かっていないと使えない方法。本当に初対面の時は話す内容に困る。

・でも、相手が相当変わった人でなければ原則はコミュニケーションしたいと思っているはずなので、何を話したらいいか分からない時は自分か相手の関心に沿って話す/質問する。

・私もメモを作っていくことはある。しかし、親しくても相手が興味をもちそうなことが分からない時もある。どうやって相手の関心を予測してる?

→相手が意外な趣味をもっていたりすることがある。相手と価値観の共通点が見つかったら仲良くなれると思う。友人関係・恋愛関係でもそうだが、共通した体験・価値が重要、仲の良さを意味すると思う。会ったら必ずしも会話し続けなければならないというのではなく、一緒に出掛ける、映画を見るなどコミュニケーション外のことをするのもアリ。

・広く流行っている音楽とかを聞いておく。何を言われても返せるように。

 

〇完全に応答にミスをしてしまう。なぜミスしたか分からない。また、タイミングをミスしてしまう。

・しかもミスをしたこともはっきりその場で分かってしまう。なぜ話し始めてしまったのか自分でも分からない。

→その場でミスしたことが分かるというのは自分にはない。その場でリカバリーしようとする?

リカバリーできたらいいけど、できないこともある。自分でもどういうことだと混乱することがある。リカバリーに成功することもあれば失敗することもある。(失敗=相手の顔色悪くなる、空気が凍る。)

・ある話題を話し始めるけど着地点(オチ)が分からなくなる。話と話の関連で話題が移った時にそうなりがち。

・考え込んでしまった時、頭の中だけで会話してて文脈を共有しないまま話してしまう。

 

【緊張】

〇不安とか緊張とかで声が出せなくなることがあるし、その閾値が低い。

〇緊張している場面では「そうですね」「分かりました」など定型文しか話せない。スムーズに言葉が出てこないので暫定的に返事をしているイメージ。

 

〇コミュニケーション中ずっと緊張を強いられる。びくびくしている。間違ったことを言っていないか、相手を不快にさせていないか、とても怖い。正解がわからない。不正解を出し続ける短答試験をしているような感覚がある。

・自分もコミュニケーションの正解を考えてしまう。恋愛ゲームの選択肢みたいなイメージ。

 

〇相手と話している時、緊張して気分が浮ついてしまう。

・会話が終わった後に後悔することがある。

 

【コミュニケーションを取ると疲れる】

〇心のHPがコミュニケーションをすることでゴリゴリ減るので、コミュニケーションをできるだけ避けたいけど、コミュニケーションをしないと少しずつゆっくりと減っていき一定以下になると辛くなるコミュニケーションポイントのようなものがある。なのでコミュニケーションを極限まで減らせば良いかというと、そういうわけでもないので難しい。

・どういう相手に対してHPが減る?親しい相手の場合も減る?

→親しくなければないほど削られる。

〇人と話した後や出かけた後、ストレスがかかったのか、気分の落ち込みが酷い。完璧にストレスフリーは無理なので妥協が必要。

・コミュニケーションは疲れるということ自体、共有するのが難しい人もいそう。友人関係においてコミュニケーション上の配慮というのも難しいと思うし。

→自分で個人的に頼み事をできる相手がいれば。なぜ疲れるのか深掘りできたら、コミュニケーション=疲れるということを分からない人に説明するヒントが得られそう。

→かなり親しい間柄じゃないと、配慮をお願いするのは難しい。配慮を求めると「あなたとの会話は疲れる」と伝えることになるのではないか。コミュニケーションに疲れる理由は、失敗経験、後悔による「コミュニケーション=怖いもの」という学習だと思う。

・会話=目的/手段という一般的なコミュニケーションに対する認識との違い。

 

【どれくらい本当のことを言っている?】

〇言われたことが冗談か本気かが判別できず、なんて返したらいいかわからないことがよくある

・冗談できついことを言ってしまうことがあるので気を付けたい。

・冗談か本気か分からないボーダーで言ってくる人は責任を負いたくないケースが多い気がする。ストレートに言ってこないのが悪いと思うので気にしない方がいい。

・皮肉を言う人っていうのはレア。原則的には褒めとして受け取るのがいい。

 

〇どれくらい本音を言ってもいいのか分からない。意見を言うことで相手と対立したり相手が嫌な顔をするのが嫌だ。そのように考えているのに、友達と話しているとディベートのような会話になりがち。

→思っていることを言うか言わないかの決定権は自分にあるんだと最近気づいた。以前は、本音を言っていいかどうかの基準は外部にあると思っていた。言っていいか悪いかと言うか言わないかは違うかも。言うか言わないか=コントロール可。

→本音を言っていいかどうかという判断について、親からどういう接し方をされていたかが関係しそう。

 

【相手の意図が分からない】

〇「言外の意図」みたいなのの推察が苦手。(「あとはわかるよね?」みたいに、言外の意図の存在を示されていても分からない。)

〇相手の意図がわからない時にわかったふりをしてしまう。

〇思い込みは年代、国籍、母語のような属性が同じときに起きやすい。属性が共通していない時は、思い込みを持ちにくく認識のすれ違いも起きにくい。

・それぞれ認識が違う事に最近気づいたけど、普段の会話ではそこまで考えず、共有できているという前提で進んでいく。

 

【何を話している/話していたか分からなくなる】

〇話してる内に何を聞かれてたのか分からなくなるときがある。聞き返すのが苦手なのでトピックを見失うとフリーズする。

〇毎回、何を話したのかあまり記憶に残っておらず、いいかげんなことを口走ったことだけが印象に残っています。そのことに対する自己嫌悪が酷いので、その相手と話すのが苦痛になります。

・瞬間的に話さなければならない時に、ついていけないのが原因だと思った。解決策:話の正確さと速さを上げること。人と話さない期間があり、会話能力が下がったと感じた。会話の訓練が有効か。情報収集、メモも重要そう。

・処理速度が低い人はテンポ良い会話から振り落とされてしまう。気配りできる環境下だと会話しやすい。

 

〈まとめ〉

1.相手の目をずっと見て話す必要はない。

2.話題を事前に考えていくことで会話に詰まることを回避できるが、基本的には相手も会話したがっているという前提でコミュニケーションに臨めばよい。

3.途中で何を話したいか分からなくなる時=オチを見失う場合がある。また、相手が何を話しているのか分からなくなる場合もある。処理速度などの原因がありそう。話す時も聞く時もメモが有効かもしれない。

4.コミュニケーションで強く緊張する人、またひどく疲れる人がいる。コミュニケーションへの恐怖心などが原因かもしれない。

5.相手は原則好意的に対応してくれていると考えて、冗談や言外の意図についても好意的に解釈した方が精神的には良い。

6.ただ、認識の違いによってコミュニケーション上のすれ違いが起きることもあるため、擦り合わせが必要になる場面もある。

7.どれくらい本当のことを言うかについての判断は発言者にその権利がある。

 

研究成果は以上です。